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【No.786号】 【発行日】2019/4/5 [8-3]
 つれ連れ草 -639-  光が丘秋の陽小学校副校長 濱屋 雄二
●誕生日

【 記事 】

 「先生、今日はわたしの誕生日です!」と、児童が言ってくることがあります。そのときの子供たちの顔はとても嬉しそうで、見ている私まで嬉しい気分になります。「誕生日は何かあるの?」と聞き返すと、誰もが「プレゼントをもらえる!」と、また笑顔で話します。おいしいごちそうやケーキなど、他にも良いことがあるのでしょうが、「誕生日」=「プレゼントがもらえる日」となっているようでした。私は、親から誕生日プレゼントをもらったことがなかったので、そんな子供たちをうらやましく思っていました。
 ところで、オランダに住んでいた友人から、こんな話を聞きました。オランダでは、誕生日を迎えた人がプレゼントをもらうのではなく、逆にその人が両親や周りの方々に贈り物をするというのです。なぜそういった風習があるのかと尋ねたところ、前年の誕生日から一年間無事に過ごせたのは、それまでお世話をしてくれた周りの方々のおかげなのだから、誕生日を迎えた本人から皆さんへの感謝の気持ちを伝えるためだということでした。(この話はオランダ全域のことなのか、その方が住んでいた一部地域のことなのかは、分かりません。)この話を聞き、私は誕生日に対する考え方が変わり、私もそうすることにしました。歳をとってくると誕生日はさほど嬉しいものではありませんが、今でも私の誕生日を祝ってくれる家族に対しては、感謝の気持ちを伝えるようにしています。
 先日、本校で四年生が二分の一成人式を行いました。どの子も親に、「産んでくれてありがとう。」「育ててくれてありがとう。」と感謝の気持ちを述べていて、その姿はとても素敵でした。そして、自分の親に対して感謝の気持ちをそのように素直に伝えられることを、うらやましく思いました。なぜなら、私自身は小さい頃から両親へ感謝の気持ちを伝えたことなどなく、大人になっていざ伝えたいと思ったときには、すでに二人とも他界してしまっていたからです。
 誕生日にプレゼントをもらうことに異議はありませんが、誕生日だからこそ、お世話になった方々に対して何かをしてあげたいという気持ちをもつことも必要かもしれません。いつもは照れくさくて言えないけれど、「産んでくれてありがとう。」「いつも見守ってくれてありがとう。」と伝えられれば、子供が自ずと命の大切さについて実感する良い機会になるのではないでしょうか。

 昭和43年 富山県生まれ 東京都練馬区在住


光が丘新聞         2019/4/5

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