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【No.769号】 【発行日】2017/11/5 [8-1]
 つれ連れ草 -622- 高松小学校校長 渡邊 万里子
●人間らしく 

【 記事 】

 今後AI(人工知能)の飛躍的な進化により、二〇三〇年頃には現在ある職業の半分以上はAIに取って替わるだろう、と予測されています。人間がつくったAIが人間を超えてしまうかもしれない、なんてことはSFの話だと思っていましたが、もしかしたら現実となるかもしれない、と空恐ろしくなります。「人間が人間らしくある」には、何が必要なのかと考えさせられます。
 ところで、組織の中で効率よく働くために「マニュアル」がよく使われます。とても便利で、誰がやっても失敗や上手い下手がなくできるように考えられていると思います。マニュアルが現代のように多く使われていなかった頃は、上手い人のやり方を見様見真似で覚えたり、失敗して叱られたりしながら会得してきました。できるようになるまでに時間がかかり、多くの人と関わりながら覚えました。何でもスピーディーを求められる時代になり、マニュアルも促成栽培のように人を育てる手段として有効だと思います。しかし、これはもしかしたらロボット人間をつくっているのでは、と思うことがあります。溜まっていなくても時間が来ればゴミ箱の袋を換えることやマニュアルに書いてないことには対応できないことがその一例です。
 最近学校行事だけでなく様々な場所において、お願いや警告の貼り紙が増えていると感じるのですが、それもマニュアルの影響かな、と思います。周りの人の迷惑にならない場所で写真を撮ったり、互いに声を掛け合ったりし、「お先にどうぞ。」や「次にどうぞ。」等のやりとりの光景が減り、一つ一つ細かく決め事をし、それを貼り紙やおたよりにして伝えることが多くなりました。決めたことを守ることはとても大切ですし、それにより互いに気持ちよく過ごせることはよいことだと思います。しかし、先に細部に渡りきまりを作ることがよいのか、またきまりにないから自分のやりたいようにやってよいのか、と考えてしまいます。
 人間が人間らしくしていくために一番大事なことは、周囲の人に迷惑をかけないなどの気配りができることや相手の立場に立って考えられること、そして臨機応変に対応できることではないかと思います。それができればきまりがなくてもみんなが気持ちよく過ごせるのではないでしょうか。しかしこの力は、人とコミュニケーションを取らなければ育てることはできませんし、マニュアル通りには行かず、多くの体験を重ねる時間が必要です。
 私たち大人が次代を担う子供たちを育てるためにモデルを示すことが大事です。ぜひ、「人間らしい人間」を育てていきたいものです。


光が丘新聞         2017/11/5

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