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【No.528号】 【発行日】2007/1/5 [8-1]
 つれ連れ草 -384- 光が丘クリニック院長 徳安 良紀
●「メタボリック・シンドローム」と運動


【 記事 】

 「メタボリック・シンドローム」という言葉を最近よく耳にする。metabolic syndromeの和訳であるが、代謝障害症候群あるいは内臓脂肪症候群の名称のほうが理解され易い。内臓脂肪型肥満が進むと脂肪細胞から分泌される物質の産生・分泌異常が惹起され、生活習慣病(高血糖、高血圧、高脂血症など)の発症が促進されて動脈硬化が進み、最終的に心筋梗塞、脳梗塞などに至る。すなわち、「肥満を一連の病態の犯人として捉え、肥満による代謝障害のために様々な重病になる」とする概念である。
 この概念は1988年に発表された「Syndrome X」、1989年の「死の四重奏」などを経て、2001年にWHOが「metabolic syndrome」という名称と診断基準を発表し、2005年日本版「メタボリック・シンドローム」の診断基準が作成された。内臓脂肪型肥満(腹囲を指標)の他に、高血糖、高血圧、高脂血症の3項目中2項目以上該当すれば「メタボリック・シンドローム」と診断される。
 その解決策には、生活習慣病の発症防止と治療は欠かせない。しかし、源流にある肥満を解消するほうが遥かに効率的である。食事療法と運動療法がその双璧をなす。
 肥満を解消する運動療法のうち、最も簡単な方法はウォーキング、ジョッギングである。1週間2000キロカロリー、1日換算300キロカロリーの運動量が必要とされ、やや早足歩行なら1日100分または1万歩に相当する。この運動量は高齢者にはきつい。1日20〜30分、1週間3回程度の歩行でもそれなりの効果がある。
 肥満患者にはよく食事療法や運動療法を勧める。半年で5キログラム以上減量し、「お陰で体が軽くなったよ」と感謝される。
 自分はどうかというと、仕事中はほぼ座りっぱなし。ますます『リンゴ型肥満』に近づく。週1回程度、光が丘の駅からクリニックまで22分間かけて早足で歩くが、明らかに運動量が足りない。 11月のある朝、体育館を過ぎた並木道でふわふわした銀杏の落葉の絨緞を見つけ、その上を歩きたくなった。すると『ツルン』と転んでしまったのだ。『落葉は滑るのよ』と犬連れのおばさんに笑われた。幸い怪我はなかったが、人は簡単に転倒することを学習した。
 小太りの患者に「私の周りに小太りの人が多く、みんな元気で長生きしているよ」と言われることがある。欧米人の肥満に比べ、日本人の小太りはそれほど生命予後が悪くない報告がある。しかし、非活動的、運動しない人に比べ、活動的、定期的に運動する人のほうが予後良好であることを忘れてはいけない。
 小太りの皆様(小生も含まれるが) ウォーキング・ジョッギングに最適な光が丘公園がすぐそばにあるから、今からでも運動を始めてみませんか?

 昭和21年東京生まれ 練馬区旭丘在住


光が丘新聞         2007/1/5

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